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RSS フィード等の “Subscribe” は「積ん読 (つんどく)」か

2008/3/23 日曜日 (16:00:05)、宇田川 浩行 による、翻訳 への投稿。

RSS フィードをはじめとして、インターネットでは、ある情報の更新を何らかの手段で通知するための機能がいろいろとあり、特定の情報をその管理下におくように指定することを “Subscribe” (署名する、賛同する、予約する、購読する、などの意) といいます。こういった機能を利用することで、知りたい更新情報をまとめておくことが出来ます。

さて、この Subscribe という英語は、一般に「購読する」と和訳されています。これが不自然だと感じられた方はわりと多いのではないでしょうか。

「購読」説

「購読」というのは、「(書籍・雑誌・新聞などを) 購入して読む」という意味です。もちろん、ここでいう Subscribe の訳語として使われる場合、普通は代価を支払う必要はありません。というわけで、購読という訳が不自然だと感じている人は、この「購入して」という部分にひっかかっているようです。

「購読」がなぜおかしいのか、といった話は既に記事にされている方が数名おられるようなので、ここではくどくどと述べません (RSSフィードの購読は、「subscribe」から / ZAPAブロ〜グ2.0 さん)。

結論からいえば、日本語の語彙に Subscribe をそのまま置きかえられるような単語がなく、どうしても意味を狭めてしまったり、逆に曖昧になってしまったりするのですが、そのなかでは「購読」が一番無難だということのようです。

購読というと、新聞の定期購読のように、読み物を習慣的に読んでいるような印象を受けるので、この手の機能を利用している場面を想像しやすいのは確かです。「購入する」という部分についても、もともと情報媒体が無料かつ大量に配信されているという状況が完全に新しい出来事なので、古くからの言葉の意味にとらわれすぎる必要もないかもしれません。

しかし、翻訳で重要になる「字義」の問題は残ります。購読の「購」には「代償の伴う取引 (購う)」という意味があり、多くの熟語で通用しています。例え、その言葉が指す意味 (内面) が変化したとしても、外面が変わらないと、言葉としての違和感は残ってしまうのです。この点で何らかの折り合いをつけないことには、決定的に定着させる (日本語の語彙に調和させる) ことは難しい気がしています。

その他、考えられる訳語

ここでいう意味の “Subscribe” を代替するような英語の表現を探してみると “Watching” (注意する、観察する、監視する) が考えられます。これは、ある情報源を見張っておくという意味です。ただ、「監視」は大袈裟ですし、「観察」は真面目すぎる嫌いがあります。「注意」には随分広い意味があり曖昧です。個人的にはどれも、「購読」に比べて場面を想像しにくいです。この系統で比較的おかしくない表現は「留意する」ぐらいだと思います。

別の案として、「愛読」も考えられますが、この手の機能を使う人が、その対象をそこまで感情的に捉えているのか、判断しかねます。

「積ん読」説

筆者が、なぜこんなことを気にしているのかと言えば、海外製のアプリケーションのマニュアルやらメッセージ・カタログを翻訳している時に、単に困ったからです。特に掲示板やブログなどのウェブアプリケーションの場合、コンテンツを提供する側と使用する側の実態に即した翻訳をすることはなかなか難しいことです。提供する側としては、あまり押しつけがましい表現は避け、気軽に利用してもらいたいものですし、使用する側としては直感的にそれと分かる表現が好ましいのは当然です。

そこで筆者が苦し紛れに提案したいのが「積ん読 (つんどく)」です。積ん読というのは以下のような意味です。

〔「積んで置く」に言いかけた洒落〕書物を買い集めるだけで、読まずに積み重ねておくこと。

大辞林 第二版

そもそも、この種の機能自体は RSS だとかウェブアプリケーションの機能の充実だとか、情報の取得を容易にする技術の向上に伴って生まれたもので、それを利用することは、対価を支払うとか愛読する、といった積極的な行為というよりも、怠け癖の方に近いものがあるのではないかと思っています (違ったらすみません)。そういった使用者の実態に合わせるのならば、表現にも多少の気軽さが必要なはずです。「積ん読」ほど投げやりな表現であれば、代償も愛読も要求していませんし、そんなボタンがさりげなく置いてあったら「とりあえず積ん読」という使い方をしてしまうに違いありません。

字義の上からは、「積んで (ためて) 読む」ぐらいにしか読めないので、通用の障碍になることもないはずです。

なお、この表現はメールマガジンなどには向きません。向こうから送られてくるメールマガジンを積ん読するというのは逆に読む気が無さすぎてはじめから登録しなければいいのに、という感じかもしれません。メールマガジンの場合、そもそも直訳すれば「郵送雑誌」ですから定期的に送られてくる、という意味が既に込められていますし、そういうものとしての認知も一般的な言葉なので、それを利用するのは「メールマガジンに登録 (署名) する」とか「メールマガジンを取得 (受信) する」が自然な表現だと思います。

現在筆者は phpBB3 の翻訳作業をしていますが、日本語訳とテーマが出来上がり次第、掲示板の試験運用を始めたいと思っています。phpBB にも、特定のフォーラムや話題を積ん読けるような機能があるので、そこでこの試訳を実験してみるつもりです。

ここまで書いておいて何か違うような気もしてきた…。

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読者のご意見

この記事に寄せられたご意見は、現在 1件です。(RSS 2.0)

2010/2/4 木曜日 (17:50:07)、subscribe の訳語は「継読」で « 半月記 さんによる投稿。

[…] RSSフィードやメーリングリストなど、subscribe の訳語を「購読する」、名詞形の subscription を「購読」としているのを目にする機会がしばしばあります(ほかに文脈に応じて「登録」や「加入者」(subscriber の訳として)としている場合もありますが、ここでは専ら「購読」について考えます)。 RSS フィードをはじめとして、インターネットでは、ある情報の更新を何らかの手段で通知するための機能がいろいろとあり、特定の情報をその管理下におくように指定することを “Subscribe” (署名する、賛同する、予約する、購読する、などの意) といいます。 RSS フィード等の “Subscribe” は「積ん読 (つんどく)」か […]

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